小日記

ただのOL、たまに社長。日々のちょっとしたこと。

『ヤクザと憲法』の感想と日記

なぜこの映画を観るに至ったかには、こんな経緯がある。

ある日友だちが、暗い顔で「片思いをしている人と映画デートに行って、なんか盛り上がらなかったんだよ」と話していた。
何を見たのかたずねると、『パディントン』とのこと。


映画『パディントン』本予告編

真っ赤な帽子をかぶった小さな熊が、ペルーのジャングルの奥地からはるばるイギリスのロンドンへやってきた。家を探し求める彼は、親切なブラウンさん一家に出会い、「パディントン」と名付けられる。ブラウンさんの家の屋根裏に泊めてもらうことになったパディントンは、早速家を探し始めるが、初めての都会暮らしは毎日がドタバタの連続で……。(映画.comより)

パディントン』は、彼女の提案で観たらしい。
「彼のほうはどんな映画が好きっぽいの?」と聞くと、最近観たのは『ヤクザと憲法』というドキュメンタリーだそう。


映画『ヤクザと憲法』予告編

暴力団対策法、暴力団排除条例の施行以降、ヤクザや暴力団の構成員数が減少に向かっている。これまで以上の逆風の中で、彼らヤクザはどのような日常を送り、何を考えているのか。大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」にカメラが入り、これまで見えなかったヤクザの現実を記録。(映画.comより)

えぇー、これは世界観が違いすぎやしませんか。陽気なクマのぬいぐるみと、ヤクザ……。
わたしもこの二択で言ったら『パディントン』な世界観で生きているので、ちょっくら『ヤクザと憲法』的な作品を勉強しに行こう、となったわけ。


下記からは、映画に特別詳しくもなく、ドキュメンタリーに精通しているわけでもない、一般のOLが観た『ヤクザと憲法』の感想です。
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まず、山之内先生(67歳、ヤクザ専門の弁護士)がかっこいい。わたしは冒険家や探検家が好きなのですが、それと通ずる部分でもありまして。
賢い人が、なぜあえてそれをする!?と思うようなことをしている。それで、「男心って本当に全く理解できない」と思うのに、なぜかそこに惹かれてしまう。
山之内先生は、ニコニコしつつも飄々としているところも良いし、若い頃はギラギラしているのも良い。最後に少し弱音を吐くところはグッとくるし、弁護士事務所の事務のおばちゃんは最高。


それから、山之内先生と、太っちょ弁護士先生の関係性も良いなと思った。
太っちょ弁護士先生は、山之内先生のことを「なんでわざわざヤクザ専門の弁護士なんてするんでしょうね。それで損ばかりしてますよね。理解できませんね」と話すのに、困ったときはいつも助けてくれる人。
よく映画や小説に出てくる、「しょうがないやつめ」とか言いながら主人公を助けてくれる人みたいだ。


また関係性で言うと、尚人とハットを被ったお爺さんの関係が、切なくて良かった。
尚人は21歳の新人ヤクザ。とにかくボンクラで、ミスはするし、親分たちをイラつかせるし、元いじめられっ子らしく、も~見ていられない。
ハットを被ったお爺さんは、そんな尚人のことを「親のような気持ちで接してます」というふうに話す。このセリフは序盤で出てくるのですが、言葉が重すぎるので、はじめは軽薄に感じてしまう。「ずいぶん簡単に言うなぁ」って。
しかし、このお爺さんは、選挙権もなく、天涯孤独の身であることが徐々にわかってきます。
そんなお爺さんと尚人が、特に盛り上がる話題もなく日本酒を飲み交わすシーンは、胸に迫るものがあった。


あと、「受け入れられたい」っていうのは人の根源的な欲求で、そうしてくれる場所に行きたくなるよね〜と思った。
紡木たく先生の名作『ホットロード』をはじめて読んだ後もそんなことを感じたなぁ。

大学のときに専攻していた児童福祉の内容もついでに思い出したよ。
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感想はだいたいこんな感じ。


帰りはここで晩ごはん。
tabelog.com


「そ」!


そういえば、以前この映画館に来たときは、今思い返せば、いろんな偶然が重なっていた日だった。そのとき過去と今と未来だったことが、過去と過去と今になった。
窓にはさまってしまったカーテンの裾みたいに、端っこだけひらひらとこちらに姿を見せている。無数にあるそれらは、今はただ私たちの目の前を通り過ぎるだけだけれど、そのどれかはまた未来の端っこかもしれないよ。

そんなことをケラケラ話しながらカレーを食べた。