小日記

ただのOL、たまに社長。日々のちょっとしたこと。

映画『愛がなんだ』はリトマス紙

「飛んで火に入る夏の虫子ちゃん」
これは、かつてわたしの恋話を聞いた会社の先輩が放ったひとことである。思わず笑ってしまったし、この先輩とは今でも仲良しだ。
それから数年後、映画『愛がなんだ』を観てわたしは思う。
「この女、飛んで火に入る夏の虫子ちゃんだな……」

原作者の角田光代さんは『八日目の蝉』や『紙の月』などのベストセラーを多く生み出している。
しかしわたしは、この『愛がなんだ』がいちばん好きだったりする。
はじめて読んだとき、「なにこれ、めっちゃくちゃ面白いじゃん」と震えた。
理由は下記。
1.男に振り回される主人公が全く可哀想じゃなくて楽しそうだし可愛い
2.主人公を振り回す男にも人間味がある

2について。
主人公の山田さんが想いを寄せる男マモルは、山田さんのことを都合のいい女扱いをする。
「この男なに考えてんだ」「キモ」「コワ」「サイコパスかよ」「調子乗ってんなぁ」とか思う。
しかし、物語の途中で、マモルに好きな女ができる。
好きな女の前では、好かれようとがんばってしまいカッコ悪いマモル。調子に乗ってない。「サイコパスかよ」と思ったけど、ちゃんと人間だったことが分かる。

この、二面性を見せる仕掛けが最高。
(ちなみに、同じく角田光代著『くまちゃん』では、上記のような仕掛けが延々と続いてて面白い)

わたしは角田光代さんの男性の描き方が抜群に好き。
女性目線の恋愛小説にもかかわらず、悪者でもヒーローでもなく描いていく。
翻って現実の自分自身だって、恋愛の相手を貶めることも救うこともできないわけで。

たぶんだけど『愛がなんだ』は、「最高」と思う人とそうじゃない人に分かれると思う。
「最高」と思う人は、実際はどうあれ、「飛んで火に入る夏の虫子(または虫男)」の素質が少なからずあるのでしょう。

自分は夏の虫子かどうか?
映画館で確かめてみるのも一興です。

愛がなんだ (角川文庫)

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くまちゃん (新潮文庫)

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