小日記

日々のちょっとしたこと

地球人のカレ

友人とビールを飲みながらランチをしたある日のこと。
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友人は、何を見ても以前の恋人を思い出すと言う。そんな彼女を励ますため、彼のことが早く好きじゃなくなるようにと、わたしは思ってもいないことを言って否定し続けた。

「彼はジャイアントの自転車に乗っていたんだよ」
「ダサいし、そんな人超いっぱいいるよ」
「甘い香水をつけてるところも好きだった」
「ナルシストっぽいし、そんな人超いっぱいいるよ」
沢木耕太郎の『凍』をよく読んでたなぁ」
「それ私も大好きだし、講談社ノンフィクション賞を取った名作だし、そんな人超いっぱいいるよ」

わたしがあまりにも適当でいいかげんなコメントをするので、友人は面白くなったようで、「二本足で歩いてた」「目は2つあった」「地球に住んでる」など言い出し、わたしは「いまどき?」「遅れてる」「個性がない」など返して、あははと笑った。

よく一緒に「彼氏ほし~」と話している友人には内緒だけれど、私は今のひとりの生活がけっこう好きだったりする。
人と一緒にいることは、かけがえがなくて幸福で安心することだけれど、少しの不自由さと僅かな息苦しさがあることを知ってる。それは相手のせいではなく、自分で勝手に感じてしまうことなので、完全に自分の問題だけど。

何かをするときに誰かの反応を気にしなくていい。どこに住んでもいいし、どこにも帰らなくてもいい。誰のことを好きになってもいいし、その気持ちを伝えてもいい。どんな仕事を選んでもいいし、実家に帰ったっていい。

色んなことがあってその上にこの生活が成り立っていると考えると、重すぎて無邪気に「楽しい」とは言えないけれど、今は一人であることの不安と心許なさすら、悪くはない気分。

しばらくはこの生活をしよう。とか言って、寒くなる頃には気が変わっていそう。それもまた自由なのだけど。