小日記

日々のちょっとしたこと

なぜ西宮さんは石田くんを許せたのか

『聲の形』を読み始めた。いま3巻を読み終わったところだけど、すっごく面白い!!

わたしは、乱暴なことやいじめに対して嫌悪感がすごくある(バキとか北野映画とかは好きなので、暴力というか乱暴が大嫌い)。だから、本作のあらすじを知ったときは、「イヤな気持ちになりそうだな~」と思ってしばらく遠ざけてました。
でも、読んでみたらすごく面白かった。

西宮さんが石田くんを許した理由について、3巻まで読んだ時点で感じたことを書こうと思います。

※少しネタバレです

1巻の小学校時代の話は本当につらくて、石田くんが心底憎く、「不幸になりやがれ」と思いながら読んでおりました。
だから、西宮さんの補聴器を弁償するために170万円を払わされるシーンとかは、ちょっとスッキリしてしまったりして。

さらに、高校生になった石田くんが西宮さんに会いに行ったあとも、最初のほうは結弦と同じ気持ちでした。「こんなやつのこと許してやるな!」って。
お母さんが石田くんにビンタするくだりとか、またちょっとスッキリしてしまったりして。

なのに、だんだん、西宮さんの過去を軽んじない石田くんを応援したくなってしまう。

誤解を恐れずに書くと、
大人になると「トラウマとか恥ずっ」と思って、自分の過去の傷ついた出来事に対して、

あの時はつらかったけど、今はもう別に何とも思ってな~い♪

みたいな態度を取りがちだと思うんです。
人の過去の出来事についても、重くなければですが、親子の確執、失恋、人間関係などなどに対して、

そんなやつもう忘れなよ
いま幸せだから大丈夫だよ
まだ乗り越えてないのかよ(これは心の声)

みたいな言葉をかけてしまいがち。
ましてや、西宮さんと石田くんに影を落とすのは、小学校のド子供の頃の出来事。彼らは、キラキラと今を生きている高校3年生なのです。
いじめの内容がかなりヘビーなので、西宮さんに対し、軽く「もう忘れなよ」とは言えない。とはいえ、もし自分だったら、傾聴と共感の態度を示した後に「いま幸せだから大丈夫だよ」とは言ってしまうかもしれない。

しかし石田くんは、そんなふうに過去を切り捨てるようなことはせず、一緒に辛い気持ちになっているため、その出来事にず~~~っと寄り添っているんです(※まだ3巻までしか読んでませんが……)。
たとえそれが石田くん自身のためだとしても、彼は西宮さんと同じ目線から小学校時代のことを受け止めて考えている。そんな存在だから、西宮さんは許す気持ちになることができて、惹かれていったのではないでしょうか。

……とか言って、全巻読んだら全然ちがう理由だったりして。。。

誰かの過去に対してその人と同じように受け止めて寄り添うなんて面倒だから、そうしてくれる人はめったに現れないし、もしいたとしたら大事な存在になるのはわかる。
どんな人のどんな過去も軽んじられるものはないし、自分もそう。なんてことを思った、『聲の形』でした。

ホントおもしろいよ~~。
先生やお母さんなどの脇役も、ただのいい人・悪い人ではなく、キャラクターが複雑で奥行きがあるところも大好きです。今日残り全巻買ってきた。早く読みたいな。