『テロルの決算』を読んで
昨日読んだ『キャパの十字架』がおもしろかったので、『テロルの決算』も読んでみたら超おもしろくてまた一気読みしました。
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/11/07
- メディア: 文庫
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読んだ直後の感想は「めっちゃ怖……」でした。
テロルをえがいた本を読んで「怖い」はないだろうって感じですけど、、、おばけとかは全く怖くないんですが、人間の狂気には過度に怯えてしまいます。
で、一晩経って落ち着いてからこの事件について思いを馳せ、「孤独」について考えてしまいました。
環境に関わらず、心に孤独を抱えた人は、自分の理解者や、強いものを目の前にしたときに、強烈に引かれてしまうものなのかもなーと思いました。
それは浅沼にとっての麻生久であり、二矢にとっては愛国党で、浅沼は発狂、二矢は事件の実行にまで至ります。
心酔や熱狂することが悪いとは思わないですし、むしろそこまで夢中になれることはある意味羨ましいときもあります。
ただ、一線を越えてしまうかどうかーー期待に応えてもらえなかったときに裏切りと感じるか、絶望感を抱くか、心を壊すほど混乱するかーーというのは、本人の孤独感に由来するような気がしてなりません。
そう考えていくと、「孤独を愛する」という言葉がありますが、それをできるのは本当は孤独ではない、満たされている人の特権のように思えます。
また、沢木耕太郎は本当は孤独ではないことに自覚的で、孤独に対する憧れみたいなものを持っているのかもしれないな、と思いました。推測ですけど。